出願していれば良かった商標

昨日は、名古屋女子国際マラソンがありました。このマラソン、我が家のすぐそばを通ります。屋上に上がれば我が家からも見れます。

仕事をしていたら家のすぐ近くの交差点から家内が電話をかけてきました。先頭グループがもうすぐ来るとのこと。日曜日でも来客がありましたが、先頭集団だけでも見ませんかということで先頭グループを見ました。

高橋尚子選手が走ってるかなといういい加減なことを考えつつ見ていましたが、高橋選手はいなかったようです(そもそも参加していないのでしょう)。なお、昨日は、例年のように風の強い選手泣かせの一日でした。例年そうらしいです。

さて、昨日は商標の相談をされましたが、これが大変残念な話でした。

そのクライアントはご自分で特許庁の商標の調査を以前されたそうです。そのとき、同じものがあったとのことで、出願は見送ったそうです。

その背景というのは、元々その屋号を使って商売をしていた人がいて、その人がそのビジネスに対する投資を今回のクライアントに依頼したそうです。

このクライアントは商標に対する関心はあったので、ご自分で調べたところ、先のようなことだったので、その時点では商標出願することを勧めなかったそうです。

ところが、その後も何かのきっかけで商標を調査したところ、自分がもう取れないと思っていたその商標を別の人も取っていることに気が付き、それなら自分もと思って相談に来られました。

そのクライアントが持ってこられた資料を見せていただきましたが、確かに同じ商標について複数の商標が特許庁のデータベースに載っていました。

そのからくりはといえば理に沿ったもので、「商品分類」が異なるとか、「類似商品区分」が異なるというもの、そして「登録済み」か単なる「出願中」かといったものでした。

簡単な方の後者から説明します。特許庁のデータベースを検索して出てくるもの全てが特許庁で登録されたものとは限りません。登録XXXX番というものであれば、特許庁が審査をして商標登録しても良いと判断したものです。しかし、商願XXXX番というものであれば、まだ出願されただけで特許庁は判断していないというものです。

紛らわしいと思われるかもしれませんが、商標も早い者勝ちですから、同じ商標について先に出願中のものがあれば、これから商標出願することは無意味です。ですから、調査をしたときにそれらも出力されるようになっています。

この場合は、権利範囲が正面から重なり合う同じ商標について二重に表示されるようになるわけです。

一方、前者の場合は、「商品分類」が異なるか、「類似商品区分」が異なるものですから、同じ商標のようでも実は権利範囲が重なっていません。

商標は、マークと商品とを対にして出願します。あるマークについて出願すれば全ての商品に使えるというわけではなく、ある区分の範囲でのみ使えると言うことです。全ての商品に使いたいなら全ての商品分類を指定する必要があります。分類は45個あり、45個指定することはもちろん可能ですが、費用は単独の場合と比べて23倍?45倍かかります。

また、一つの分類の中で出願するとしても、一つの分類の中の全ての商品を指定するのか、個別に商品を指定するのかによって、権利範囲が異なります。そのため、特許庁は同じ商品分類の中でも権利範囲を明らかにするために類似商品区分というものを作っています。ですから、先の登録商標が一つの分類の中の個別に商品を指定している場合は、その類似商品区分を外すことで、同じ分類で同じ商標が登録されることもあり得ます。

今回のクライアントの場合、最初に自分で見つけられた商標はある商品分類の中で個別の商品を指定していました。ですから、同じ分類の中でも別の商品を指定して登録する余地があったのです。

他の方にも思うことですが、
1.商標に関心を持って欲しい
2.その上で気になったことは気軽に相談して欲しい
といったところをお願いしたいですね。
2007年03月11日 17:36