コンピュータソフトウェア使用に関する著作権

コンピュータソフトウェア使用に関する著作権

米国知的所有権事情

POLSTER,LIEDER,WOODRUFF & LUCCHESI,L.C. St.Louis,Missouri

J.Joseph Muller

  

 ビジネスシステムソフトウエアが急増し、ビジネス環境におけるネットワーク利用が拡大しています。今回は、そのようなソフトウエアの使用に関する著作権に関して安心していられるようにするいくつかの方法をお話しします。

 特に、次のことは著作権侵害によりとがめられたり、ソフトウエア供給者による高額な訴訟や和解を避けるためのガイドラインです。

 最近、ある小規模会社がその会社のコンピュータシステムを担当する従業員を解雇しました。その会社は多数のスタンドアロンコンピュータに加えてネットワークコンピュータを持っていました。その会社が残念にも発見したことは、その会社のコンピュータ技師が1個のインストールだけを実施許諾されているソフトウエアを購入し、ネットワークコンピュータやスタンドアロンコンピュータにそのソフトウエアを多数コピーしてインストールしていたことでした。

 会社の経営者は、時折このソフトウエア技師に新しいソフトウエアやソフトウエアの更新版を購入する指示をするほかは技師の行動を監督するすべはありませんでした。

 経営者による解雇の通報に対し、このソフトウエア技師はソフトウエア会社に彼がインストールしたプログラムを誰が不法に使用していたかを通告しました。

 全てがはっきりしたとき、その会社はソフトウエア会社に告訴されないで和解するための賠償金の支払いに加えて、コピーをして使用されていたソフトウエアの追加実施許諾料をソフトウエア会社に支払うことになりました。そして、許可されているものとされていないものを見極めたり、何をすれば安心できるかを見極めるために多大な管理時間がかかりました。

 もし、あなたの所有するコンピュータがコンピュータシステムの管理者を必要とする程大きいならば、一人だけにコンピュータの購入とインストールの責任をもたせるべきです。その管理者に、購入したもの、購入した日、実施許諾された数のソフトウエアの包装数、使用するソフトウエアの正当なインストールの数を記録しておかせて下さい。さらに、実施許諾されているソフトウエアのコピーをあなたが容易に管理できる場所に保管して下さい。

 どのコンピュータにどのソフトウェアがインストールされているかも記録しておくべきです。たまにインストールの数を限定する設置許諾が附属しているソフトウエアがあります(サイトライセンス)。

 一般によく”サイト”という用語が設置したコンピュータの全てを含んむ設備全体を意味していると間違って理解されています。

 むしろ、この用語は普通は1つのコンピュータ又はソフトウエアをインストールしてもよいコンピュータの数を限定する設置許諾を意味します。

 もし、あなたが実施許諾により許可されている数以上のコンピュータにソフトウエアをインストールする必要があると分かった場合、次のいずれかの方法を選択できます。すなわち、そのソフトウエアが現在インストールしたものから取り除くことができるなら、新しい実施許諾のために新しいプログラムのコピーを購入すれば良いでしょう。また、ソフトウエアを供給した会社に連絡し、インストールを追加するために現在の実施許諾の範囲を広げる費用を問い合わせても良いでしょう。

 プログラムの利用についていうと、あるプログラムを使う人がたとえそのコンピュータを滅多に使用しない場合であってもかつて使用したというようであれば、ソフトウエアをそのコンピュータにインストールしてしまうことがしばしば起こります。

 ソフトウエアの利用を監視できる有効な装置があります。その装置を使用すれば特定のソフトウエアをインストールしておいた方が効果的なのか、それを取り出して他のコンピュータにインストールした方が効率的なのか経営者に教えてくれます。そうした監視をすることにより、追加のソフトウエアを購入する必要もなくなり、追加の実施許諾料を支払う必要も無くなります。

 一旦このような記録装置を設置すれば、周期的な検査がなされるので、それに従っていればよいのです。近頃は、全ての人が忙しい毎日です。何気なくしたことが、非難の的になるような過ちなってしまうことだって有りあるのです。ですから、経営者により、年1・2回の見直しを行えば、起こりうる問題を発見できるのであり、それによって予め対処できるのです。同様に、あなたのコンピュータシステムの管理者またはコンピュータを使用している従業員が辞めた場合にはいつでも、実施許諾されていないプログラムがインストールされ、それが使用されていないか否かを調べるべきです。

 上記のことを全て実行する一方で、ソフトウエアとその使用について、従業員に対する会社の方針が書面で記されていることもまた重要です。その方針の中には、違法なソフトウエアのコピーを使用することが当会社においては許されておらず、そのようなことは容認されえないだろうということを明記すべきです。さらに、企業内新聞や張り紙などの通知等を通じて、従業員教育を行うこともできるでしょう。最終的にはこの方針に反する行為があった場合には、その従業員は解雇されたり、無給での勤務時間が課せられるということを従業員に知らしめる実施規定が盛り込まれるべきです。

 ソフトウエアの違法な使用は窃盗です。我が国の著作権法では、許諾されていないプログラムを使用することにより、ソフトウエアの所有者の著作権を侵害した事実が見つかった場合には、その侵害者に対して実質的な罰金を課しています。この罰金の額は、一件につき最高100,000ドルまで課せられる可能性があります。特に、ひどいケースでは、裁判費用やソフトウエアの所有者の法律関連費用の支払いで、この額の3倍になることもあります。場合によっては、著作権法の刑罰が課せられることもあります。会社の方針を明記して、その方針を実行することの方が、はるかに簡単で、はるかに経費が節約できるのです。

(訳者注:本規定は米国の国内規定です)