広告と公表権

広告と公表権

米国知的所有権事情

POLSTER,LIEDER,WOODRUFF & LUCCHESI,L.C. St.Louis,Missouri

J.Joseph Muller

  

 最近、私は新聞や雑誌に載せる広告をレビューするように依頼されました。その広告には有名な役者の写真とともに彼の名前に似た販売促進用のキャッチが含まれていました。私はその役者の名前と写真を使用する許可を得ているか訪ねたところ、依頼者は許可を得ていないと言いました。このため私はその依頼人にこの広告は使用すべきではないと話しました。なぜなら、その役者によって訴えられるかもしれないからです。

 出版物やテレビなどによって誰もが名前や写真を知っているような場合、許可なく商業目的のために彼らの名前などを使用することは認められません。スーパーの広告冊子やテレビ番組表の表紙を飾る写真の人物があなたが自分の製品を販売するためにどのように彼らの名前や写真を使用することに文句を付けるのかを想像するのは難しいかもしれませんが、彼らは文句を付けることができるし、事実、彼らはそうしています。彼らの公表権(right of publicity)に基づいて、いかなる状況下で商業的に使用されるかを決める権限を持っているのです。

 言論の自由の改正のもとでは、公に識別可能な個人ということについては、ある話の中で彼らの名前が使用されても抗議できません。たとえその出版が利益のために彼らを本質的に利用しているとしてもです。この観点では社会のために情報を収集し広げる出版の権利により彼らのプライバシーは奪われています。しかしながら、この例外を除いてこれらの個人は彼らのイメージがどのように、誰に、どのような状況下で使用されるかといったことをコントロールできます。

 これまで述べたことは映画スターやテレビスターたちのことだけを話しているように聞こえるかもしれませんが、私たちが世界で十分知られるようにならなくても、私たちはそれぞれ公表権を持っているのです。ですから、もし、あなたが広告にあなたの家族や友人の名前や写真を使用するつもりなら、彼らに名前や写真の使用料を支払わなくても常に彼らから使用許可をもらうサインを得ておくべきです。その形式は単に一枚の合意書でよいのです。そして、その合意書をもっていることで、将来に起こりうるトラブルを避けることができるのです。

 これまで述べたことは広告に関係している最も重要な点ですが、他の点でも注意すべき点があります。広告は公的サービス団体とともに、州と連邦の政府機関で監視されています。州レベルでは消費者省や司法局が管轄し、連邦レベルでは連邦通商委員会が管轄します。これらの機関は、印刷物やラジオ、テレビの広告の伝統的な広告を管轄するだけではなく、インターネットのようなより近代的な通信手段も管轄しています。広告はこれらの機関の監視下にあり、もし、不当であったり人を欺くものであると認められた場合、広告者は広告を訂正することを求められます。何が不当なのでしょうか? 公正通商法は、それを消費者に実質的な被害を与えるような行為で、合理的に消費者自身では回避しがたく、また消費者の利益や競合の利益を相殺してもそれにより影響されるものではないと定義しています。

 広告するにあたり何に注意するべきでしょうか?発生しうる一般的な問題を挙げます。広告に誰かからの推奨を載せますか?もし載せるなら、その推奨があならの製品やサービスに対する推奨人の正直な意見であることを前提とします。その上、その製品やサービスに対する推奨人の体験は他の人も体験しうる代表的なものでなければなりません。現在、多様な減量広告に関していくつか事例がでてきています。連邦通商委員会は推奨人の減量体験は参加者の50%以上によって体験されたもののではないことを問題にしています。

 特に、あなたの広告が価格情報や競合品との価格比較を含む場合、連邦通商委員会はガイドラインを定めており、例えば製造業者の提示した小売価格を含むものでなければならないと規定しています。あなたの製品やサービスについてはセール価格であるのに、競業者の製品について記載した価格が通常価格なら、その広告は偽っていると判断されます。競業者の価格を広告に含む際の重要なルールは、できるだけ正当な比較に近づけるべきということです。

 製品を試してもらう見返りに消費者に対して現金や商品を提供するこはありますか?この場合は、対価や商品を得られるための条件を完全に説明するための注意を払うべきです。単に製品を試すというよりはその条件を満たすために製品を買わなければならなかったり、一定の期間でそれを使用しなければならなかったり、その提供がすぐに期限切れとなってしまうようなことはありませんか?

 目にする製品広告のほとんどは販売者の側からみた特徴だけを強調しています。それらの特徴が合法的に実演宣伝されたり証明されるなら構いませんが、それができないとその広告は偽りなのです。不正や偽りであると認められた広告主は、その州や連邦の政府機関によりその広告の実施を止めるよう指示され、罰金を請求されます。そして、このことを公表するため訂正広告を発行しなければなりません。また、製品を購入する際の選択に特別な関心をもってその広告を信じていた場合には購買者に払い戻しをしなければなならない事例もあります。