特許にならない発明を特許になる発明にする

これは魔法ではありません。我々の事務所でいつも頭を悩ませ、解決していることです。

よく問い合わせを受けることですが、ビジネスのアイデアなどはなかなか特許にはできません。しかし、ストレートに考えると特許庁が特許を認める発明ではなくても、迂回して考えると特許を取れることはあります。

先日、受けたご相談というのは、日本にある都道府県のご当地毎にある製品をシリーズ化するといったようなものでした。(もちろん、秘密保持のため例を変えてあり、本来のご相談はかなり内容が違います。)

特許は誤解を承知で敢えて言えば「技術」です。ご当地毎にある製品をシリーズ化するというのは、技術とは関係がありません。言い換えれば、野球チーム毎にメガホンの色とマークを変えて製品化したといっても特許にはなりません。むろん、デザインが変われば意匠の対象にはなるでしょう。

そのような相談を受ければ「それは特許にはなりません」で済ますことの方が楽です。

ただ、何をシリーズ化するかによっては特許の対象になるポイントが含まれていることもあります。例えば、人間が意図的にあの県はこの特産がある、この県はこの特産があるといってシリーズ化の特徴を決めていくというのでは無理かもしれません。

でも、同じ化学薬品を使って各県毎に何かの実験を行って、その結果を使って製品化するといったようなものであれば、技術に関係してきます。薬品を使用しなくても、その堅固との気候、風土などを利用してシリーズ化する要素を決めるなどすれば可能でしょう。

これ以外にもその製品によってはいろいろなアイデアは湧いてきます。

ただ、このようにして迂回した特許の場合、オールマイティーではないことも知っておく必要があります。というのは、特許を取れるようにポイントを限定しますから、元のアイデアのままでこのようなポイントを含まないものには牽制効果が効きません。

もちろん弁理士はその点も考慮した上で縛りをかけざるを得ない点、縛りをかけるべきではない点ということを説明してくれるとは思います。それを納得された上で特許出願するか否かを考えると良いとは思います。

このような本来の「穴」があったとしても、特許明細書の書き方次第では「一見」元のアイデアのままで権利化しているように見せる方法もあります。

最も簡単なのは特許請求の範囲の1番目(請求項1)に、通るはずもない元のアイデアのままの文章を書いてしまうことです。特許庁の審査官はそれを許可するはずがないとしても、実際の審査まではその姿ですし、公表されるのもその姿です。

最終的に権利化される時点でその文章が残ることはないでしょうが、一般の方が権利化される可能性を判断できることはあまりないので、このような手もありです。
2007年02月25日 14:44