発明の効果

特許をとるときには、その発明の効果というものを書きます。

この効果は直接的には技術的な効果であって、技術に直接関係しなかったり、従来の技術でも同じ効果があるようなものではいけません。

例えば携帯電話のケースですが、これにアニメキャラクターの絵をつければ、子供が欲しがり、親が買い与えるので販売効果が上がる説明されるようなことがあります。

ちなみにキャラクターのロイヤリティーはすごいですね。5%とか10%?卸価格からすると誰を儲けさせるためにものを作ってるんだろうというような金額です。漫画家になるべきだったかも・・・

しかし、子供が欲しがるというのは技術的な効果ではないので実は特許の効果としては有効ではありません。審査官も首を縦には振らないでしょう。

でも、そこで技術的な効果を言えれば特許になる可能性はまだ残っています。例えば、キャラクターの絵をつけるんだけれども、ある部分は小さな穴を開けておき、携帯のLEDが露出するようにしておきます。穴の部分はキャラクターとしても光るべき部分に合わせたりします。

そうすると、待ち受け中などにぴかぴかと点滅する光が外部に漏れ出るため、キャラクターとしての演出効果もさることながら、夜間、運転者などから早期に発見できるとかなんとか。

LEDの光量では夜間の認識効果がそれほど高いとも思えませんが、技術的に間違ってはいません。発明は改良できる余地があるのであれば、当初はデメリットの方が多い技術でも特許になります。

鬼塚(現、アシックス。知らなかった!)の社長がその昔、高橋尚子選手の靴を作ったそうです。高橋選手がよく転ぶのは足の形が右と左で違うからと考え、靴を左右で厚さを変えたそうです。

高橋選手はしばらく使ってみてやっぱり戻せと言いました。そして、鬼塚さんは「戻しました」と言って、戻していない靴を渡しました。それを使って高橋選手は何かの大会で優勝したらしいです。高橋選手はやっぱり戻した方が良かったと思って優勝したらしいけど、実際は戻っていなかったのが事実だそうです。

こう書くと足の形に合わせて左右の形を違えた技術的な効果があったように説得できます。審査官の首を縦に振らせる「効果」はあるかもしれません。

とは言っても、この手の話は単位のない科学なので、私自身は技術的な効果があるとは思いません。言い換えると戻した靴で走ったって優勝してたのかもしれないわけです。単位がないので因果関係は全く分かりません。特許の詐欺にご用心ともいえます。
2007年02月20日 10:09