商標権の侵害

日本に半分、こちらに半分という生活が続いていると逆に日本のニュースが虫食い状態になってしまい、話が通じなくなることしかりです。そのまんま東知事の話題も、以前、昼飯を食べながらうちの部下に教えてもらったことはあったのですが、知らないうちに当選してますし、ほんと分かっているような分かっていないような状態です。

そのまんまブランドというものが何らかの公約になっているようなんですね。早速、電子図書館でサーチ!・・と思いきや、メンテナンス中で日本時間の月曜日まで休館中とのこと。yukikoさん、せっかく良いネタを振っていただいたのですが、そんなわけでお預けです。再開したらサーチしてコメントさせていただきます。

kenさんから日水(日本水産?)がターゲットに訴えられたと教えてもらいました。確かに、あのターゲット(www.target.com)のお店を見たときに、何かこう、口の中に懐かしい感じが漂ってきたのですが、今思えば魚肉ソーセージの味が口中に漂ってきたんですね。

恐ろしいものです。パブロフスドッグです。子供の頃に頭の中に日水のマークが刷り込まれていたんですね。ターゲットのマークを見てよだれを垂らす日本人のおばか、一人発見!です。

さて、商標を守るために商標権を取得するのですが、さて、これでどのように守られたといえるのでしょうか。商標権を持ってる人しか使えないんだと言われても、現実に、ターゲットと日水は同じマークをずっと使ってきているわけです。

日水とターゲットとどっちが先に使っていたかといえば、調べていませんけどたぶん日水なんじゃないでしょうか。それなのに商標登録していなかったのでターゲットが先に取れたとして、これでどういった権利関係になるのでしょうか?まずは、ターゲットの側からのお話。

商標権は、確かに、商標権を持っている人だけがそのマークを使用できるということを規定し、商標権を侵害したら罰金は最高いくらだとか書いてあります。ですが、土地の所有権の場合にAさんの土地にBさんが勝手に入ったときに警察がすっ飛んできて捕まえてくれることがないのと同じで、商標権を誰かが侵害しても警察は普通は動いちゃくれません(ブランド品を除く)。

ですから、ターゲットはまずは日水に対して、「私はこれこれのマークの商標権を有している。貴社(日水)はこのマークを使用しているので、こちらの商標権を侵害している。即刻、侵害行為を停止して欲しい。」と自分から言わないといけません。

もちろん、そのような侵害者の行為を見張るのは自分の役目であって、特段、自分の代わりに商標権侵害がなされていないか見張ってくれる商売というものがあるわけでもありません。似ているサービスにあるマークを指定して定期的にそれに関連する商標出願がないか調べる調査があるようです。

そのようなわけですから、自分で侵害者を発見し、その人に警告しなければなりません。警告をしても止めないということであれば、民事裁判を起こして裁判所から使用差し止めの命令をもらって差し止めることが可能です。悪質であれば緊急な対応も可能です。

民事では差し止めるだけにとどまらず、損害賠償を請求することも可能です。損害賠償というのは相手の商標の使用によって被った自らの損害を請求するわけですが、さて、相手が使用して自分は現実にはいかほどの損害を被ったのかは計算できないといけません。

長年商標を使用していて、前年度の売り上げが分かっており、この時期、いくらぐらいの売り上げがあるはずなのに、今年は侵害行為があってそこまでいかなかったというのであれば、損害額の計算は比較的容易でしょう。しかし、そういった楽なケースは少なく、爆発的に右肩上がりに売り上げが伸びていたときの損害額というのは算出が難しいものです。

そのため、相手が得ている利益の額を自分の損害の額と見なすことができるという規定もあります。この場合、相手の利益なので、相手は経費を差し引いた上で利益を算出することになります。ある意味、その間に会社が大きくなればやったもん勝ちみたいな所が残ってしまいます。

以前は、そういったやったもん勝ちがあったのですが、近年、刑事罰としての罰金の額が引き上げられました。法人には最高1億5000万円が課されうることになっています。もっとも一時のブームにあやかって群がったバッタモンの業者を相手にする場合は、期待した効果が得られるのかどうかは分かりませんが。

もし、ターゲットが日本でも権利をとったとすると、日水に対して、警告をし、その上で民事裁判で差し止め、損害賠償・・といった手続きを経て商標権を守っていくことになります。

ただし、日水のマークですが、古くからある記号と判断されて登録できないという可能性が高いとは思います。そのような経験があって外国でも登録していなかったのかもしれませんし、単に無知で登録していなかったのかもしれません。

なお、これらは日本の商標法のはなしですから、こちら米国での事情にそのまますべてが当てはまるものではありません。
2007年01月26日 20:46