意匠の図面

日本で意匠を出願するには6図面が必要です。6図面とは、正面図、上面図、背面図、底面図、右側面図、左側面図のことです。

サイコロを思い浮かべてください。このサイコロのすべての面を正面に見据えた図が必要ということです。

出願準備の際に我々が行うこの意匠図面のチェックというのが案外面白いんです。

特許庁はこの6図面に対して非常に厳格に対応しています。製図というのはすべからく厳格なのですが、普通はミスがあったからといってそれだけではねるということをしません。

特許庁は6図面で少しでも矛盾があると突き返しますので我々も厳格にチェックしないといけないのです。

6図面を矛盾なく書くのは難しいですよ。まず、正面から見たときは殆ど見えないはずの底面からわずかに突き出るようなビスの頭の部分でも、正面から見えるはずであれば正面図に記載しないといけません。

正面からは見える窪みでも右側面図では現れないことがあります。前後関係、左右の関係で見えないものがあります。ねじ山だって始まりがあって終わりがありますから、正面図と、上面図とでは違う図となります。慣れた人でも間違えてしまうことが多々あります。

最初の話に戻りますと、何が面白いのかということですが、この間違い探しをするわけです。人のミスを捜して喜ぶわけです。これが言うに言えない楽しさ。

ミスを見つけると頬が緩んでしまいます。イヒヒヒヒ。でも、ここでにやにやせず、顔つきを平静に保ちます。そして、さも特別なことでもないようなふりをして、おもむろにスタッフに一言。「おーい、これ間違ってるぞー。」
2007年01月18日 22:36