説明の書き方にも一工夫

1月5日~8日の間、両親を連れて台湾旅行に行きました。母は海外旅行が初めてで、最初は私の事務所のあるロサンゼルスに連れてこようかと思いましたが、長旅になるなど、各種事情を考慮してこうなりました。

母に冥土への土産という意味で親孝行!をしたわけですが、それがあだになりました。中部国際空港(通称セントレア)が大雪、大風となり、帰国便が欠航となりました。希有な親孝行をしましたので沢山の方にご迷惑をおかけしました。ここにお詫び申し上げますm(__)m。

言い訳ではないですが、このセントレア、実は欠航が多いのです。原因は横風が想定以上に多かったからです。着工前は1年間だけ風向の調査をしており、それに基づいて滑走路の方向などを決めているそうです。しかし、現実にできてからの計測結果とはかなり異なっているそうです。ま、不要な空港を作りたいがための役所と土建屋が考えたいい加減な調査なのでこういう結果になるわけです。

大雪や強風で欠航となりますと、飛行機のチケット自体は無効にならずに別の便で送ってくれるものの、別の空港に着く便とした場合の日本国内での移動の費用や、延泊のためのホテルの出費などは、旅行者の負担となるそうです。

今まで飛行機の整備遅れなどは経験しましたが、その場合の延泊や国内での移動等は飛行機会社が負担していました。なので、今回は、7日の夜のホテル代、関空についてからの家族5人の移動費用は自分持ちになりました。トホホです。

友人はそんなことで欠航する飛行機に原因があるんじゃないかと、とんでもないことを言っておりました。そんな苦情を出すことは夢にも思い付きませんでしたが、いろいろなことで文句を付ける人もいるものです。

長い前置きになりましたが、ここまでが今回のお話しの前置きです。特許の世界でもこのようなおかしな文句を付けてこられることを考慮した対策が必要です。

特許の説明書では、「従来の技術を書き、その欠点を書き、その欠点を無くすのが本発明の目的で、本発明はこのようにした。」と説明していくのが本筋です。このように説明するのが一番分かりやすく、説得力もあると考えられます。しかし、アメリカでも日本でも、そのように書きずらくなってきています。

まず、従来技術の欠点を書く場合、もし、自社の旧製品がそのような構造を取っているとすると、会社は自社の欠点を知っていたわけで、それが及ぼす危険性も把握していたにもかかわらず、回収などの手段を取らなかったとモンクを言われるおそれがあります。(日々改良することが本旨だと思うのですが・・)

また、説明上は従来の技術と考えていたとしても、実は社内では既に開発が済んでいたのだが経営的な問題で世に出していなかったような技術であることもあります。そのような場合、本来はあとで考え直して特許を取ることもできるわけです。

しかし、自ら従来技術と認めてしまっていると、それは権利放棄したものと見なされてしまいます。(分かりやすく説明するためだったというのが本来の理由なのですが・・)

こういったことを考慮してくると、従来の技術は簡単に特許公報の番号を記載するだけで内容には殆ど踏み込まず、従来の欠点は記載せず、本発明の目的は極めてあやふやなありきたりのこと(例えば構造を簡素にする、コストを低減するなど)を書くというのが「好ましい」書き方となってきます。

特許というのは、本来的に世の中に新しい技術を知らしめる見返りとして、一定期間の独占権を与えるというものです。しかし、新しい技術を知らしめるとしても、分かりやすく説得力のある順序で説明すると、しっぺ返しが来るようです。

スーパーヒーローが人を助けて訴訟を起こされる・・多くの人々がそんな馬鹿なと思いつつも、倫理よりも論理が勝つアメリカ流と思いますが、いかがでしょうか。
2007年01月14日 17:00