困る相談

前回の日記からずいぶんと空いてしまいました。

商標の相談は時に大変困ることがあります。困るというのは判断に迷うという意味です。

困るパターンその1は、ネーミングというにはどうかなというようなものです。キャッチフレーズは登録できないということが、商標の権威の方の書籍に書いてあります。

先日の官邸というネーミングは、公のものの名前ではあるので4条の要件はさておいて、ネーミングとしての素養は備えています。例えば、最近よく聞く「お約束」のような文言はどうでしょうか?

ネーミングというにはどうかと思います。一応、調べてみましたらなんと「お約束」単独の商標登録はありません!どなたか出願されたらどうですかと言いたい感じです。お約束という文言を含むもう少し長い商標は登録されていますが、それとの類似は問われないと思います。

ただ、「お約束」が登録できるのかと言われると、前述のように困ります。商品の性質や産地など(3条1項3号)を拒絶する規定が以前よりは濫用気味に使われているので、拒絶されるならこの規定かなとも思います。

もう少し長くてキャッチフレーズと言えるようなものであれば、たぶんこの規定で拒絶されるのでしょうが。このように短いとどうでしょうか。審査官に依るのかなと思います。
困るパターンその2は、複数の言葉を連結したようなものです。焼きそば一番とか、赤いきつねとか。これらの場合は別の規定で登録できないものですが、それを別にすれば「焼きそば」+「一番」であり、もしも他の人に「一番」が登録されているとどうなるのか?

一応の考え方は、連結して一体的と言える状態になっているか否かを検討し、一体的とまでは言えなければそれぞれの要素ごとに類似関係にあるものが登録されていれば、連結したものとしても登録はできません。こちらの判断であれば普通にできます。

一方、連結することで一体的となっているようであれば、連結した全体と、個々の先登録のものとを比較し、類似するかを検討します。こちらの判断だとそんなの分からないということになりかねません。

このような場合は、他の登録例を参考にして判断します。先の例であれば、「一番」が登録されているのに「ラーメン一番」も登録されているとすれば、連結して一体的となったと判断されたうえ、個々の要素ごとに先登録のものと類似とする判断はされにくいと考えられます。

こういったご相談を受けると本当に悩みます。我々も悩むところなので、個人の方が判断できる範囲ではないとは思いますが。
2006年12月09日 15:58