意匠

特許や商標はお聞きになったことも多いかと思いますが、意匠というものを知らない方も多いようです。

意匠はデザインについての権利なのですが、対象物と切り離せません。商標がマークと商品と切り離せないのと同様です。

例を挙げてみます。例えば、カエルのピョン吉(ど根性ガエル)はご存じだと思いますが、このピョン吉を書いたTシャツで意匠を取ったとします。それでは同じ絵柄のピョン吉を下敷きに印刷して売ったとします。意匠権で権利行使できますでしょうか?

意匠権はデザインですが、その対象物から切り離せませんので、権利はTシャツから離れることができません。ですから、同じ絵柄でも下敷きには権利行使できないのです。

そんなの片手落ちではないかと思われるかもしれませんが、もともと意匠は工業製品の安易なコピーを防止する目的が大事でした。従って、同じ対象物以外に権利行使できる必要はなかったのです。

外国製のストーブのデザインが秀逸だとすると、そのコピーが現れるかもしれませんので、それを防止する必要があります。しかし、いくらデザインが秀逸だったとしても、ストーブ用のデザインをTシャツにプリントして売る場合、ストーブの製造メーカーが不利益を被ることはありません。

一方、キャラクターや純粋なデザインの保護を希望する人は、この制度の庇の下に入ってきても仕方がないので、別の法律の庇の下へ入ることを検討すればよいのです。
2006年11月28日 21:17