ロイヤリティ

よく、特許を取ってロイヤリティ収入で左団扇・・みたいなことを聞きますよね。私もなってみたいと思いますが、特許事務所を止めてからでないと無理かもしれません。

ところで、こんなことが起きたらどうしますか?

Aさん、憧れのロイヤリティ収入生活をエンジョイしていました。これまでのロイヤリティは遊びまくってしまいました。しかし、Aさんもそれほどバカではないので、将来のことを考えて高級マンションを購入しました。

マンションは、その時点で残っていたロイヤリティの残りを頭金としました。残りはローンとしました。毎月のローンはかなり高額ですが、ロイヤリティ収入を全てあてることで支払えます。初心に戻ってロイヤリティで遊び呆けることはしまいという決心の表れです。

このように改心したAさんですが、Aさんの特許に苦しめられていたCさんが特許調査によってAさんの特許を無効にすることに成功してしまったのです。

Bさんは、これまでAさんにロイヤリティを払ってきました。しかし、無効になってしまった特許なら、これまでのロイヤリティを返せと言います。

さらに、Cさんは以前、Aさんから差し止め請求権を行使され、工場を停止して損失を被った経緯があります。このため、無効になった特許なのだから、その損失を返せと言ってきました。

損失分はちょうどこの高級マンションの時価と同じくらい。Cさんは名義をAさんからCさんに移し、ローンだけAさんがずっと払っていけ等と言います。

ただ、Aさんは、腹のうちでは、ロイヤリティの支払いは期限と金額しか決めておらず、この契約自体は有効なので、特許が無効になってもロイヤリティはもらえるのではないかと甘い期待も持っています。

Aさん、ピィーンチッ!

さー、みなさんは、このように期間途中で特許が無効になってしまった場合、過去受け取ったロイヤリティの扱いと、過去の差し止め請求権の行使で生じた損害賠償について、元特許権者はどのように責任を負うと思いますか?

(答えは逆から読んで!)。スマリナニウヨノカイハエタコ
面倒なので、普通に書きます。

一般的には過去のロイヤリティは返さなくても良いのです。なぜ?

それは、特許権者は無効になることを知っていないで受け取っていたので、特許権者に過失は認められないですし、また、ロイヤリティを支払っていた側も、特許権があることによって競争上有利な立場を利用できていたので、メリットは受けていたからと説明されています。

では、Cさんに対する損害賠償は?これもAさんに故意や過失がなければ返還は不要です。差止請求権の行使は特許権者の通常の範囲だからです。ただし、故意はもとより、過失の場合も含みます。ということは、過失が認められると、損害賠償の責任を負います。

従って、過失はないと言えるようにして権利行使しておかないといけません。自社で実は無効資料を持っていたというような場合は故意、過失を問われやすくなると思います。ただ、無効資料は持っていたものの、複数の専門家に鑑定を依頼し、無効となる可能性が低いと判断されていたような場合などは、過失を認められなくなるかもしれません。

マンションはどうする?あいにく、特許が無効になったらそれ以降のロイヤリティの義務自体も解消すると言われています。従って、ローンをロイヤリティで賄うことは無理でしょう。売らないといけませんね。
581007
2008年10月06日 22:02