一発明一出願

どこの国でも、原則は、一発明一出願です。すなわち、一つの出願には二つ以上の発明を書いてはいけないということです。ただし、これは特許請求の範囲には・・という意味です。言い換えれば、出願書類の中には書いても良いのですが、「あなたが権利化したいと考える一つの発明だけしか審査しませんからね」ということになります。

特許出願書類は、特許請求の範囲と、明細書という部分があります。明細書は説明書になり、特許請求の範囲は権利書になるわけです。

一発明って何?という疑問も起きるでしょうが、厳密に言えば国それぞれで異なるものの、大きくは異なりません。しかしながら、アメリカはまた一種独特です。他の国であれば当然一出願できたものも、アメリカでは複数あるものと判断されてどれかを選択しなさいと指摘されます。

Restriction/Election Requirementという通知が来て、これに対応してどれかを選択します。

一方、特許請求の範囲には独立項と従属項という書き方があり、ある装置について独立項は一つだけ記載し、それを具体化した例を従属項として書くことになります。独立項でのよくあるパターンは、装置と、その装置が使用する方法と、その装置のプログラム(を記録した媒体)という一組です。

方法だけで特許をとると、その方法を実施する段階まで権利侵害となりませんが、その方法を実施する装置で特許をとると、その装置が倉庫に保管されている時点から特許侵害となります。

アメリカは独立項については3つまでは基本料金の範囲で審査してくれますが、4つ以上となると割増料金がかかります。割と高いものですから、できるだけ3つ以下にします。
特に、日本やヨーロッパであれば一発明と認められるのに、アメリカだとRestriction/Electionがかかりそうな発明の場合、独立項が4つ以上あるならアメリカについては3つ以下となるように独立項のいくつかを削除して出願します。

削除しても明細書に書いてあれば後で追加することもできますし、出願時に割増料金を払ってまで出願したにもかかわらず、審査の段階では、最初に Restriction/Electionがかかって発明を絞り込まなければなくなったという事例もあります。

アメリカについては一出願で書ける範囲が比較的狭いのだということを覚えておくと良いと思います。
2008年09月15日 22:23