特許がらみの詐欺

特許は技術に対して与えられるものです。技術の世界はアイデアであっても実現可能か否かをだいたい判断できます。ですから、実物がない段階のアイデアでも、技術的に実現可能か判断し、実現可能であれば特許されます。

これはアイデアだから特許として劣るという意味ではありません。しかし、アイデアというまだ実物がない段階の状況を利用した詐欺が多いので、気を付けてください。特に、投資として、あるいは販売権として特許をちらつかせてだまそうとする人が多いようです。

夢のような話はいろいろありますが、そこに「技術」というフィルタが入ると、実現可能な夢なのか、単なる嘘なのかはっきりします。「光速での移動」は夢のような話ですが、光速以下なら実現可能、光速の2倍なら嘘という感じです。

光速の2倍の速度での移動体について特許を取りたいなら、残念ながら試作して実験して示さないと特許は取れないでしょう。光速に限りなく近い移動体なら詳しい説明書と資料を十分に揃えれば試作しなくても特許は取れます。

私はエネルギーの特許に関わりたいという希望があります。しかし、このエネルギーの分野で詐欺は多いです。電池、発電機関連といいましょうか。夢のようなのは「一度動かせばほぼ半永久的に動く」、「水を分解してエネルギーを作り出すので補給は水だけでよい」etcです。

その反面、「夜の間に電気を使って水をビルの上にくみ上げておき、昼の間にこの水を流して発電し、結果的に夜間電力代と中間電力代との差額で節電するので電気代がほぼ半分になる」というのならあながちうそではありません。ただ、いろいろ問題はあります。

理系でまともな知識を持っていれば、エネルギーの法則に基づいてこれらは嘘であることが分かるのですが、相手は詐欺のプロフェッショナル。なめたらあかんぜよです。心理的な揺さぶりは得意なので、最初は嘘と分かっていながら「おちょくったろか」のつもりがなぜか「おちょくられてかもられる」のが落ちです。

冷静でなくなっているときに周りからいくら冷静になれと言われても冷静になれないのが善良な人々の性なので、最初からそのような話には近寄らない方が良い、あるいは、今回のこの話を思い出して結末を想像してください。

以前も似たようなことを書いたのかもしれませんが、最近も似た相談を受けましたので。
2008年06月03日 20:11