グッドウィルという商標

ループインの会員であれば、英語にはお詳しいと思います。さて、goodwillというとその訳語には信用と書いてあります。好意とかも書いてあります。商標で保護するのは「商標に化体した信用」ということになっていて、このような場合の信用をgoodwillというそうです。

日本にはPC関係でグッドウィルというお店があります。割と大きなお店です。私は、当初、「グッドウィルか。商標取るの難しいだろうな。」と思いました。基本的には取れないと考え、その上でマークと一体にして取るのかなと考えていました。

そんなことが頭の隅にあったので、グッドウィルで登録の有無を調べてみました。そうしたら、次のようなものがヒットしました。

グループ1
1. 登録2137207 GOODWILL

グループ2
2. 登録2285752 GOODWILL?KUTSUWA

グループ3
3. 登録4082259 GOODWILL
4. 登録4147929 GOODWILL
5. 登録4147930 GOODWILL

グループ4
6. 登録4230238 §JI∞GA?JAPANーINDIA?GOODWILL?ASSOCIATION

グループ5
7. 登録4236382 グッドウィル?GOODWILL
8. 登録4321856 §G?GOODWILL
9. 登録4370917 グッドウィル∞GOODWILL?meansKindlyfeeling

他にもありましたが、とりあえず、この5つのグループが登録されていました。最初に思ったのは「へーっ?こんなにあるんだ」というものですが、それなりに理由は想像できました。

グループ3は「グッドウィル」と呼べるものの、マーク付きのものですから、マークの部分で登録できていると言えます。

グループ4は一部にのみ含んでいて他の部分でデザインされているので、その部分の登録だと言えます。

グループ2は「クツワ」の部分で登録できているのでしょう。

問題なのが、グループ1と、グループ5です。グループ1はそのまんまでデザイン的な要素すらありません。グループ5はデザインが施してあるものの、ほぼそのまんまといってもおかしくありません。

グループ5の各マークについて説明すると、7は英語表記とカタカナ表記を備えるもの、8はGの一文字を斜めにしてデザイン化しつつ英語表記を備えたもの、9は英語表記とカタカナ表記に加えてキャッチフレーズ風の文言を備えたものです。

グループ5の場合、3つの出願の意図が分かります。「本当は7で取れればよいけど、まず無理だろう。そのため、8ではデザイン化したGのマークを付けてその部分で取るか、9ではキャッチフレーズ的な文言を付けてその部分で取ろう。」といったところだと思います。

ただ、グループ1では、何も小細工をすることなく取れているので、何のことはない、7で登録できそうなことは分かっていたのかもしれません。

グループ1のようにそのまんまで出願したいと言われた場合、私だったら「かなり登録の可能性は低いですよ」とアドバイスするかと思います。その上で、上で説明したようなことを逆に使って、登録するためには、あーして、こーしてみたいなことをアドバイスするわけです。

それが普通の弁理士の検討結果だと思いますが、小細工せずに登録できちゃうこともあるんですよね。

瑕疵ありなのか、瑕疵なしなのかは、無効審判でもかけないことには分からないのですが、このようにいったん登録されてしまうと、5年経過語は無効審判もかけられなくなり、使い続けられるようになります。無効理由の一部にそのような特典があります。
2008年05月30日 16:00