特許製品を修理するという行為。特許製品を改造するという行為。

特許をとっているものを購入しました。しかし、長い間使用していたら壊れてきました。良いものなので修理をして使い続けようとしたとします。これは全く問題ない行為でしょうか?

Aさん:コピー品を購入したわけではないので、自分が購入したり、きちんと購入した人から譲り受けたものであれば、何の問題もありません。

Bさん:Aさんと似ていますが、自分が購入したものだけに限ります。他の人が購入した場合は修理はできません。

Cさん:基本的に、修理は全く問題ありません。使い続けるための修理なのですから。

Dさん:修理の内容が問題です。油を差したり、一部の壊れた部品を変える程度なら問題ありません。しかし、大がかりに殆ど部品を交換したりするというのであれば、特許権者の許可が必要です。

Eさん:実は油を差すというようなメンテナンスはOKなのですが、修理自体はダメなのです。製品を作ることになってきますから。

Fさん:自分のものを自分で修理することはよいのですが、他の人の物を有料で修理することはできません。

似たような感じで、自分の使い勝手に合わせて改造するという行為はどうでしょうか?

Aさん:コピー品を購入したわけではないので、自分が購入したり、きちんと購入した人から譲り受けたものであれば、自分の使い道に合わせて改造することは問題ありません。

Bさん:Aさんと似ていますが、自分が購入したものだけに限ります。他の人が購入した場合は修理と同じで改造はできません。

Cさん:基本的に、改造は全く問題ありません。使い続けるための改造なのですから。

Dさん:改造の内容が問題です。特許の構造に関しては一切手を入れては行けないのですが、他の部分の改造なら問題ありません。

Eさん:実は油を差すというようなメンテナンスはOKなのですが、改造はしてはいけないのです。製品を作ることになってきますから。

Fさん:自分のものを自分で改造することはよいのですが、他の人の物を有料で改造することはできません。


そもそも、修理や改造ということが問題になることすら理解できないと思われるかもしれません。法律では、特許権者の特典として、発明にかかるものを独占的に生産することができることになっています。

生産とは文字通り新品を生産する行為のみならず、今回話題にしているような修理や改造の一部を含むと考えられています。

まず、二つの考え方が必要です。一つめは主体としての考え方。特許製品を購入した人は、通常、その製品を使い続ける権利を得ており、その製品を誰かに譲り渡したとき、もらった側の人はライセンスを譲り受けたことになります。一方、譲った側はライセンスごと譲っているので、もう使えません。

なので、自分で買った場合はOKで、譲ってもらった場合は制限があるという区分けはありません。Aさんのような考え方が正しく、Bさんのように制限が付くということはありません。

二つめは、特許製品の寿命があるとすれば、本来のライセンスもそれを見越して許可されているということです。例えば、人間を考えたとき、薬での治療のような延命は可能ですが、臓器を入れ替えて第二の人生を始めさせるというような延命はできません。

油を差したり、些細な部品の交換の修理は認められます。しかし、大部分を入れ替えて作り直してしまうような修理は生産に該当し、認められないのです。これは修理も、改造も同じです。

Cさんのように何でもOKではないですし、Fさんのように全く修理が認められないわけでもありません。中間のDさんの程度なら問題ないということになります。

なお、他の人のものを修理したり改造することを仕事としてやって良いかというのは、上の二つの考え方で判断します。有料がどうこう言うのではなく、本来のライセンスを持っている人という観点と、寿命を適正な範囲で延ばしているのかという観点で判断することになります。
2008年05月13日 23:32