アメリカの特許制度

日本では特許になるのに時間がかかるとよく言われます。しかし、最近は早期審査という制度ができ、それを利用すればかなり早く特許になります。特に、中小企業は優遇されていて利用しない手はありません。

通常、早い方がよいのですが、非常に希にデメリットも生じます。滅多に起きないですが、知っておいた方が良いので書いておきます

あるクライアントは、早く特許にしたいということで早期審査を申請しました。出願してから半年くらいで申請し、3ヶ月程度で一回目の返事が来ました。それによれば一部に記載が曖昧なところがあるとのことでした。

数式の部分で徐々に解いていく過程で少し飛躍がありました。もちろん、大した飛躍ではないので分かる人には分かることなのです。ただ、この権利は非常に大事なので、国内優先を使って飛躍部分を埋めました。これも審査が早かったので万全の手を打てたと言えます。

国内優先を使うことで完全な出願にしてさらに早期審査をかけたところ、最初の出願から1年半ほどで権利になりました。そのクライアントは外国に特許を出願することにしました。1年を経過していますが、優先権を使わなければ問題ありません。

審査の経緯からまだ公開もされていないのでまだ外国出願できます。米国以外は問題ありません。

しかし、米国では外国で特許になってしまったものはその出願から1年を経過していると特許出願できません。特許になっているというのはその国で特許公報として掲載されているという場合です。

従って、この場合は日本で特許公報に掲載される前に急いで出願しないと特許になりません。アメリカは変わっているところで、他の国では公開されたら特許を受けられないのが普通なのに、アメリカでは公開されても1年を経過していなければOKです。

しかし、アメリカ以外の国では、元の国で特許になったらその出願日から1年を経過していたら特許になれないというような規定はありません。アメリカだけなのです。特許に関してもアメリカは他の国と協調するつもりはないようです。
2008年04月27日 08:25