特許の図面

特許の図面は製図法に従って書くようにとされています。製図法といってもある程度簡略化して書いてしまっているのが現実です。

よく、穴の断面図とか、コップの断面図などを、普通の人に書いてもらうと、穴の開口部分に線は引きませんよね。例えば、凹というように書くのが普通です。

しかし、製図法では、断面を書くとしても、物を切った断面を見て、目に入るものは全て書くのがルールです。ですから、断面は開口部分に何もないとしても、コップであれば向こう側の縁が見えるはずです。

なので、凹と書くのは正しくなく、上のへこんだ部分の上端を横切る線も書いてあげなければなりません。うーん、こんなことを言葉で説明しても分かんないかなーとは思いつつ説明しています。

ソフトウェアの説明であれば、フローチャートを使ってプログラムの内容を表します。このフローチャートをきちんと書ける人って少ないんですよね。

フローチャートの基本の形は、四角い箱の中にプログラムが実行する処理を書きます。ここまでは誰でもできます。ですが、四角い箱には実行する順番に従って線をつなぎます。

実行する順番に上から下に並べるのが普通ですから上の箱の下から下の箱に向けて線を引きます。でも、場合によっては箱の並べ方で左右に並ぶ場合もあり、その場合でも、本来のルールは箱の上の辺に線を結ぶべきで、左右に並んだからといって箱の左右の辺同士を結んではいけません。

フローチャートのこの至極簡単なルールを知っている人は少ないようで、技術者から手渡される資料がこのようなルールに則ってないことが非常に多いのです。

断面図の場合、断面には斜めの線を引き、切られた部分であることを示します。日本のルールでは、斜めの線は45度であり、線の太さや間隔を変えることで、部品が同じなのか、違う物なのかがその線で分かるようにしています。でも、素材は分かりません。

アメリカの図面では線の太さや種類を変えることで素材が分かるようにしています。金属、ガラス、木材、プラスチック・・・。この使い方はとても分かりやすいのですが、日本では何故か採用されていません。

図面といってもいろいろなルールがあり、そのルールを守ることで正確な情報を伝えられるはずなのですが、だんだん簡略化されてきていたり、ルールを全く知らないまま書いていたり、よりよいルールがあっても採用されていないというのが現状です。
2007年10月18日 23:55