失敗しないように:その1

前回、新聞発表までした商標なのに使用できなくなったことに対して「損害のないうちで良かった」と考えると書きましたが、そうは言ってもそういったことを肯定しているわけではなく、普段からよく考えて欲しいと思っていることは補足しておきます。

そして、このような事例は皆様に繰り返して欲しくはないからこそご紹介しております。そこで、覚えておいていただきたいことが2つあります。

一つめですが、こういったことが起きないようにするためには商標出願をしただけで使用し始めるのは危ないというのが基本なのです。安全を期するためには、商標出願についての審査が終わり、商標登録されるのを待つべきです。

このようなことは現実に行われています。ストック商標と呼び、普段から良さそうな商標を出願しておき、登録されたものをいくつか備えておくわけです。そして、商品を発表する段階でその中から選びます。

このようにすれば、新聞発表してから使えなくなったというようなことはほぼ確実に生じません。

そこまではできないし、商標調査をしてから選択するという考え方もあります。特許庁のデータベースは公開されていて最新の調査ができそうです。しかし、商標調査では調べきれない期間が生じることもご存じでしょうか。

言い換えると、このデータベースに盲点があるのです。データベースに出願状況や登録状況が反映されるためには時間が必要で、その時間というのは決して短くないのです。

特許庁もこの期間について保証するものでもありません。従って、そのような調査しているつもりでも実際には調査対象となっていない期間を見越した安全確認が必要です。

手順としては、商標を決めたら調査をし、OKであれば、商標出願します。そして、上述した期間が経過したらもう一度調査します。その時点で最新の状態を確認し、大丈夫そうであれば新聞発表します。

ただ、この方法というのは確かに他の人の商標によって自分が商標登録できなくなる可能性は下げられますが、自分の商標が確実に登録されるということが保証されるわけではありません。別の理由によって登録できない可能性も残ります。

こうなると、商標を使用し続けることはできるものの、他の人の使用を妨げることができないので、商標を真似られても押さえることができません。ですから、ストック商標と比較すればコストは下げられるもののこれで万全というわけではありません。

ストック商標を使わないで商標を決定して使用し、非常に有名になったものの、商標登録はできなかったという超巨大企業の有名な自動車の名前もありますよ。

2つめは次回に。
2007年09月22日 21:15