サブマリン特許(2)

一般的には新しい法律は過去のものには及ばないようにして適用されるのが普通です。ですから、特許権の存続期間が出願日を基準として決まるという法律を施行したとしても、それ以前の出願には影響しないようにしています。

だとすると、同じ問題は日本でも、欧州でも起きるはずです。しかし、起きていません。なぜかというと、もう一つの大きな理由があるからです。

サブマリン特許の大きな原因は審査が終わらないということです。これを一言で審査が遅延しているとは言い切れません。なぜかというと、アメリカでは一旦審査が終了しかけても、再度、新たな審査を請求することができます。そのメリットは、もちろん最初の出願日が有効になるということです。

30年前に出願したもので、一旦は審査が終了しかけたとしても、その時点で再度の審査を請求することで、何度も何度も審査が終了するのを阻止することができます。

この際、再度の審査には出願時と同じだけの費用がかかります。審査に要する費用を支払ってくれる限り、アメリカでは何度も審査してくれるということです。この種の手続きを継続出願と呼びます。

一般的な審査の流れをごく簡単に言ってしまいますと、拒絶の通知に対して、出願人は二度反論でき、それでだめなら審査は終わるということです。また、応答で反論するにあたり、一度目は比較的自由度が高いのですが、二度目は範囲が極めて限られています。

日本ならば一度目の対応では強気に出ることができますが、二度目は最後なので慎重にならざるを得ません。

ところが、アメリカの場合二度目の対応でだめだとしても、それなら再審査でやり直せるのです。ですから、審査官ととことんやり合うことができます。

また、このようにして審査が継続していると、それまでは特許になるようなものではないと思っていた技術が世の中で重要になってくることがあります。

再審査中であればそのような技術を抜き出して別に特許とすることもできます。

このように再審査を何度でも請求できるというシステムがあることでサブマリン特許は生まれやすくなります。

一方、出願時点が存続期間の起算日となる仕組みが採用されてからはこのようなことが起こりません。そして、現在知られている技術に関しては特許の有無の対応がわかっており、今後はあまりなさそうとの意見が主流です。

個人的にはそのような推測は当てにはならないと思います。一方、それ以外にも良い特許はどんどん生まれてきます。サブマリンが浮上することも、新たな技術の特許が生まれることもいずれも脅威です。過去のことは変えられませんが将来のことはやり方次第です。
2007年06月13日 20:57