些細なこと その2

従属項の権利範囲は広いのか狭いのか?今回も、この業界特有のつまらなくも大変関心のある話です。

従属項というのは、他の請求項の全ての限定要素を含みつつ、さらに他の限定要素を含む請求項です。

ですから権利範囲を絵で書くとすれば、請求項1が最も大きな円であり、その従属項は、その円の中でさらに円を書いているようなものです。そうやって少しづつ小さな円にしていくことで権利範囲を小さくしていきます。

権利範囲が小さければ他の権利と抵触しにくくなります。特許にならない理由の中には、他の人の権利と抵触するという理由もあります。狭くしていけば、、少なくとも他の人の権利と抵触するという理由はなくなり、権利をとりやすくなります。

このように円として書くと、どんどん小さい円を描いているはずなのですが、上位の請求項で触れていない要素を書くということは、今まで囲っていなかったことを新たに囲い込んだように思えないでしょうか。

だとすると、円の中に書いているつもりの円が実は最初の円の外にはみ出ている円を書いていることにならないでしょうか。はみ出た部分というのは、権利範囲として考えるとそれまで含んでいなかったところを新たに含んだということなので、権利範囲が広がったことになります。

一方、特許になれるようにするためには、今までなかったことを開示する必要があるわけです。そのために、従属項で新しいと考えられることを書いていくという意味もあります。

そう考えると、もともと最初の円の中に、小さな円を書いていっているということ自体が誤っています。権利を狭めようとして従属項を書いたのですが、実は権利は小さくなっていなかったということでしょうか。

でも現実に権利侵害ということを考えたとき、従属項の方が要件が多くなります。要件が多いということはそれだけ限られたときにだけ侵害と判断されることになります。これは正しく権利範囲が狭いという定義に違いありません。

我々は、こんなことを時々、真面目で話しています。・・変な人達です。
2007年05月19日 17:29