特許料の減免、審査請求費用の減免

特定の要件を満たすと、特許料や、審査請求費用の減免を受けられます。以前からも制度自体はありましたが、「そんな奴おらんで。あんた探してみなはれ。」みたいな人を保護対象にしておりました。特許庁はこれだけみてもきわめてノーマルな行政だったわけです。

しかし、今はその対象を広げて使える人を増やしています。いろいろな要件はあるものの決して不可能ではありません。特に、政府が後押しするTLOは無条件に適用を受けられる訳で、結局はそのためのものといえばそうなんですけど。とはいえ、こういったことで減免を受ける人を生じさせることで特許庁の実績が上がり、花丸がもらえます。

そもそも審査請求費用は近年2倍に跳ね上がりました。特許庁曰く諸外国を参考にしたし、審査請求される件数が減ることで本当に権利化が必要な特許出願を早期に審査することもできる。さらには、審査請求費用を上げるのに伴って特許料を減らし、有効期限ぎりぎりまで維持する特許の場合は総支払い費用が下がる。

特許庁は広く出願人に意見を求めたところ、大多数の出願の出願人は同意した。もうこうなったら非難される理由もなく、弁理士会も大多数の出願人が賛成している中で反対する理由を失い、賛成して特許庁から花丸をもらいました。

こう聞けば何も問題なく聞こえますが、一握りの大企業が全出願件数の80?90%を占めているという現状では、大多数の出願人というのは実のところその数社の意見です。むろん、大企業とすれば、トータルで安くなるなら文句もありません。

その数社以外は、20年先の特許権の維持費用と、数年先の先払いの審査請求費用とを天秤にかければ、20年間でわずかに安くなるよりは、権利になるか否かの審査の際の費用が安くなる方が好ましいと思うはずです。かくて、大企業優先、貧乏人は粟食って選挙のときは家で寝ていればいいのです。

しかーし、ここで困ったのが、TLOや大学。自分たちで独立して食って生きなさいと言われたものの、食う算段はつきません。特許出願しろと言われても、好き勝手に審査請求も上げられちゃってどうするんだということですね。

そういった泣き言もあって、例外を作らなくちゃということで、「そういえば、減免制度があったじゃん。あれ使お。」です。

ただ、TLOや大学以外でも、使えるはずの企業はあります。1.法人税払ってない会社、2.試験研究開発費が収入の3%を超える会社、3.国からの補助金を受けた事業、などは、減免を受けられます。

そうそう、生活保護を受けている人も減免を受けられます。市町村民税を払っていない、所得税を払っていない人もOKです。大学生や主婦ならいいのかな?

国は大学生や主婦の発明が日本を救うと考えているのでしょうね。日本発のビルゲイツよ、洗濯機の糸くず取りで世界を変えよう!
2007年05月15日 23:13