面談

特許庁は原則的には書面主義を採用しており、特許の審査も書面で行われます。??。言い換えれば、特許庁に実物を持って行ってこれを特許にして欲しいといってもだめで、全部書面にして持ってこいということです。

ただ、書面だけでは意図が伝わらない、現物を見せれば百聞は一見にしかずのごとく、すぐに理解できるというように、書面主義では得られない効果が期待できるときは、面談というものを実施してくれます。

私も一件、面談の予約を入れています。いつものように秘密保持の観点からぼやかしてご説明しますが、内容はこんな感じです。

今回のクライアントの装置はとても大きな装置です。そこで樹脂板のカッティングを行うのですが、そのために樹脂板を保持しておく装置に対して特許庁から「待った!」がかかりました。

特許庁曰く、そのようなものを押さえるものは世の中にあまたとあり、あなたの考えた装置はそれらから当然に当業者が思いつく範囲であるとのこと。

それに対して、いやいや、こちらはあなたの考えているようなものを押さえようとしているわけではないという反論をしたいわけです。

確かに、書面主義の審査だけをしていれば特許庁の主張の方が筋が通りそうかもしれません。しかし、現物を見てもらえば、これほど機械が違い、対象も違うので、特許庁が考えているような小さなものを転用するのが容易ということはないだろうと思います。

このような場合にこそ面談を有効利用します。現物を見せることで審査官が想像しているものとはかなりの違いがあるということを主張できます。

今回は、審査の上の段階の審判です。審判は審査での誤りを是正するものですから、より一層、面談の効果を期待できます。

以前は2mm四方ほどの大きさの部材に形成した斜面について面談を申し込んだことがあります。確かに大きな部材ではどちらに斜面が起伏していようが大した違いはないかもしれません。しかし、2mm四方の世界で日常的に行われる作用は書面だけでは想像できません。

審判官の手にその部材を置き、その斜面に沿って日に何十回も部品が動くのだということを実感してもらうことで発明の理解をより一層深いものとすることができます。

面談は原則的には現物を持って行くことを要求されますが、大きな装置であれば、来てもらうこともできます。むろん、その必要性を予め書面で伝える必要はあります。

このように面談が有効な場合もありますから、有効に利用してみることもお勧めします。
2007年04月22日 14:40